高田かや(さん)著の漫画「カルト村で生まれました」を読んでみました。
漫画では彼女が生まれ育った「カルト村」での生活やその生活のなかでの体験が描かれています。
私は「カルト村」で生活したことはありませんが、漫画を読んでいると不思議と自分が子供のころにもっていた寂しさや反発心、好きだったもの、楽しかったこと、描いていた夢など、様々な想いが懐かしく思い出されてきます。
また、作品の中では普段では知ることのない「カルト村」の生活が描かれており、その内容はとても興味深いものでもありました。
親子が一緒に暮らせないことや、子供への体罰や労働、(私が感じた)村社会による個人の自由な意思の制限など疑問に感じる部分はあるにせよ、村の生活はとてもよく設計されており感心する部分がいくつもあり、自分自身も「この村で生活してみたいかも・・・」とさえ思えてくるのです。
それに、昨今のニュースなどで報道されているような両親による子供虐待などの痛ましい事件の報道をみると、その子供たちがこの漫画にでてくる「カルト村」で衣食住の安全が保障される環境で育つことができればどんなに良かっただろうと思ってしまいます。
最近、続けている心理学の勉強や、辺見庸さんの言葉を通じて『人には不健全に生きる』自由もあるということに気付きました。
それ以前は自分の根底に『人は健全に正しく健全に生きるべきだ!』という思いがあったように思います。
けれども、今では『健全にいきるのも、不健全にいきるのも、どっちでも自分が体験したいほうでいいんじゃないか』と思っています。
だから、「この村で生活してみたいかも・・・」なんてどこかで感じていても、実際に生活してみると窮屈さを感じてしまうかもしれません。
しかし、自己の発育途中であり自分での生活が物理的に困難な子供たちが、たとえ制限があるなかでも衣食住の安全が確保されている環境で生活できることはとても大切なように思います。
もし両親がそのような安心できる環境を提供できない場合には、国や社会がその両親に代わり子供たちをサポートできるような世の中になってほしいと願わずにはいられません。
「カルト村で生まれました」おすすめの一冊です。